ひとりひとりの仕事の領域をもっと広げたい
2013年10月24日  タグ: | |

 ホンダ太陽の中枢を担う製造部門。全工場で約200名のスタッフがラインを動かしている。そのスタッフをサポートするのが「治具」(機械工作で、工作物の所定の位置に刃物を案内する工具)。施設・設備管理課、藤内芳郎係長は、これまで、さまざまな治具を開発・実現化させてきた治具のスペシャリストだ。

・作業効率をアップさせた「クリップ挿入機」「マーキング装置」

 「ほんと、たまたまのことなんです。うちの部署は日出と別府の区分けがなくて、とはいっても、わたしが別府の担当っていうか、主幹として現場の改善とかをやってるんですが、そうすると自然、現場さんからの要求が多くきこえてきて」
 工場では毎月、現場サイドの要望や提案をあげる「改善提案」という制度がある。そんななかで改善がすすむこともあるが、藤内さんにとっていちばんダイレクトに響くのは日々の通常業務だという。
 「別府工場は上肢機能の弱い方が多く在籍してまして、そういう方々と一緒に仕事をしながら治具化をすすめているので、現場の意見が取り入れられやすい環境にはありますね。『痛い』とか、『つらい』とか、『固い』とか『重い』とか、そんな声がきこえてくると、何とかしなくちゃ、と思う」
 通常、部品の組み立ては手作業で行われる。たとえば、ゴムチューブへクリップを取り付ける作業があるが、従来はプライヤーでクリップをはさんで取り付けていた。しかしそれだと、どうしても作業が可能なスタッフが限られてしまう。「なんとかならないか」と考えた藤内さんは、エアを使った治具「クリップ挿入機」を開発した。
 さらに、長いチューブの定位置にインクでマークをつける作業を確実にした「マーキング装置」も開発導入、現在、工場で活躍している。

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・「ひとりひとりの仕事の領域をもっと広げたい」

 以前は製造部に所属していた。ラインのリーダーを任されたとき、「あとこれができれば、このかたはこの仕事ができるのに」、「部品の選別だけじゃなくて、袋詰めまでひとりでできればもっと『自分の担当だ』って、誇りも愛着も湧いてくるだろうな」と感じた。
 「ひとりひとりの仕事の領域をもっと広げたいな、っていう思いがあって。それで、自分なりに治具を考えたり、簡単な改善をやってはみてたんですけど、やってるうちにそれをさらに特化してやってみたくなったんです。で、希望していまの部署にしてもらいました。ここに来て9年ぐらいになるんですかね?」
 その後も、何か要望があるたびに治具の開発にとりかかってきた。完成した治具は、中国ホンダのほか、タイの工場でも採用されている。
 「もともとは障がい者のかたの、かっこよくいえばサポート的につくったものなんですけど、そういうものが結局、健常者の方にもものすごく好評いただくことになったんですね。とくに品質面だとかは治具でサポートしながら作りこみをすることが、障がい者健常者問わず、いろんな方々にメリットがあった、そういう評価をいただけました。そして治具というのは一度つくったら終わりじゃなくて、常に進化しつづけていくもの。いまつかってるものもさらによくしていきたいと考えています」
 作業環境をもっと快適にしよう、という藤内さんの思いはさまざまな治具という形になって実を結んだ。
 「ほんと、たまたまうまくいっただけです」
 そう言って、事もなさげに笑顔をみせる藤内さん。昼食は必ずスタッフと一緒にとるようにしているという。スタッフに声をかけると、自然と現場の空気はなごむ。ここが働きやすい環境なのは、藤内さんの明るさと人柄によるところも大きいのかもしれない。

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